介護士の中には、転職によってキャリアアップに成功したというという人も少なくないが、逆に転職時にミスマッチを起こして後悔したという人もいる。実は介護士の離職率は16.2%と高く、何度も転職を繰り返す人も多い。そのため、転職をするときには、リスクを踏まえたうえで求職活動を行うべきだろう。
転職でよくある失敗例の中には、「事前に聞いていた雇用条件が入社してみると異なる」というケースがある。一般的には、企業が人を雇うときには「労働条件通知書」を採用者に提示し、その内容を覚書として交わすが、企業や法人の中には、条件を口頭で伝えるのみで、書類を出さないところもある。そのため、給与や勤務時間などが当初と異なるという事態が起こることもある。
また、「実際に入社してみると忙しすぎる」という話もよく耳にする。最近は高齢化社会で介護士不足に悩まされている介護施設は多い。そのため、人手不足に陥っている施設では、夜勤明けの翌日にも出勤を要求するなど、ブラックまがいの環境下で働かざるを得ないこともあるようだ。
それから、未経験から介護士になろうとする人の場合は、「教育環境が整っていない」ということで苦労している人もいる。前述したとおり、介護業界は慢性的な人手不足だ。そのため、新しく入った人を教育する時間や余裕がない施設もあり、このような事態を招いていることが窺える。したがって、これらの問題をクリアするためには、情報収集を徹底すべきだろう。応募前には職場見学をして施設の雰囲気を調べるほか、口コミをチェックしたり、転職エージェントを利用したりすることをおすすめする。多少手間暇はかかってしまうが、後悔のない転職をするためには努力も必要なのだ。